貯蔵

新年早々ロクなニュースがない状態で始まった2024年ですが、どうぞよろしくお願い致します。
年末年始と実家に帰ってまして、例のごとく飲み食いばっかできっちり正月太りしたような気がします(←恐ろしくてまだ計ってない)

とりあえず新年一発目の劇場映画、観てきました。

映画「レザボア・ドッグス デジタルリマスター版」鑑賞

ハーベイ・カイテル主演、クエンティン・タランティーノ監督のクライム作品。
あのレザボアが上映されるとなったらそりゃ劇場行かない手はないなと、キノシネマ立川にて公開初日に鑑賞。


感想:処女作にして最高。
やっぱりレザボアといえばリトル・グリーン・バッグをBGMにスローで歩くスーツ姿の男たち。
www.youtube.com
本当このオープニングクレジットは滅茶苦茶良くてシビれる。

久しぶりに観たけどやっぱりいいなぁ…監督二作目の「パルプ・フィクション」も勿論好きだが、上映時間も含め映像作品としてスマートなのはこの「レザボア・ドッグス」だと思ってます。何の意味もない長尺会話シーン、クール極まりない演出、曲のチョイス…タランティーノのデビュー作にして全てが詰まってる完成形と言っていいんじゃないかな。

やっぱりこの画の最高さと言ったらないし、この後カメラが引いていく演出がまた見事なんですよ。

勿論タランティーノ作品なのでバイオレンスシーンがあるから苦手な人には薦められないけど、少なくとも映画好きを自称する人なら間違いなく観ておくべき作品なんじゃないかなぁと。これをデビュー作、28歳で撮ってしまうタランティーノのセンスには脱帽しかない。
そしてハーベイ・カイテルの渋さにシビれましょう。


昨年中は映画だけでなくNetflixでドラマもチョイチョイ観てたので、それらの感想をば。

シュワルツェネッガー、三つの人生」
ボディビルダー・俳優・政治家と三つの顔を持つシュワちゃんのドキュメンタリー。一般的にはハリウッドスターのイメージが一番強いシュワ、ボディビルダーのチャンピオンというのは知ってたけど、不動産業とかもやってたことは知らなかった。
ビルダー界で名を轟かせ、不動産業でも十分食っていけただろうに俳優へ転向、数年は全く売れてなかったというんだからわからんものだ。ハリウッドでも大スターになって、政治家でもカリフォルニア州知事までなるという…

売れなかった映画(ラスト・アクション・ヒーロー)やスキャンダルとかにもしっかり触れているので、光だけじゃなく影も描いてるという意味でもしっかりした作品だと思います。


「毒」
ベネディクト・カンバーバッチ主演、ウェス・アンダーソン監督の短編なので、ドラマとはちょっと違うか。
以前「アステロイド・シティ」でウェス・アンダーソン作品の理解しづらさを知ったので、他の作品はどんなもんかと、この17分の短編を観てみたわけです。
いや思ったより普通に楽しめた。カンバーバッチ以外だったらロバート・ダウニー・Jr.あたりがやるのがしっくりくるであろうこの主役に加え、ベン・キングズレー御大まで出てて驚いた。

シリアスなのかコメディなのかよくわからないが絵的には美しい作品。ウェス・アンダーソン弱者の俺にはピッタリでした。


「THE DAYS」
役所広司主演、西浦正記・中田秀夫監督の東日本大震災福島原発を描いた作品で、原案は「死の淵を見た男―吉田昌郎福島第一原発」という門田隆将のノンフィクションから。
これは見応えありました。原発関連のドラマではHBOが「チェルノブイリ」という凄まじい完成度のドラマを出してるからどうしても後追いだし、明らかに意識してるだろうなという演出もチラホラあるんだけど、それでも震災当時にどれだけ恐ろしい状況下にあって現場の人々がどれだけ必死に頑張ったかを理解させてくれる作りになってるので、観ておいて損はないかと。

映画「Fukushima50」(←Amazonプライムビデオで観られます)では当時の首相役を佐野史郎が見事に熱演してたんだけど、今作では小日向文世がまた見事に演じてて最高でした。佐野さんも小日向さんも憎たらしい役やらせたら死ぬほど上手いんだってw


「シャドウハンター The Mortal Instruments」
キャサリンマクナマラ主演、ハラルド・ズワルト監督、カサンドラ・クレアの小説「シャドウハンター 骨の街」をドラマ化したファンタジー作品。
普通の女子高生である主人公が実は妖魔を倒すためのシャドウハンターの一人だった…といういかにもティーンズ向け設定の時点でやめときゃ良かったんだけど、割と人気だっつーから観てみたら、まぁこの主人公が全然感情移入できないわがまま娘だったので第二話の時点で投了。
ティーンズ向けはやはりオッサンには厳しいか…


「殺人鬼との対談 ジョン・ウェイン・ゲイシーの場合」
70年代に全米を震撼させたシリアルキラーであるジョン・ゲイシー弁護団との会話テープを主軸に、関係者や被害者(!)のインタビューなどを交えて紐解いていくドキュメンタリー。
全三話なのであっさり観終われるかと思ったんだけど、何かあまり興味をそそられなくてやめちゃいました。何だろうな、ジェフリー・ダーマーの時はドラマだったから(心底酷い犯罪だったのに)最後まで観られたけど、ジョン・ゲイシー本人が全く反省も見せずに応対してる様を観てるだけで嫌気がさしたというか。

ITのペニーワイズのモデルとなったジョン・ゲイシー(よくピエロに扮して子供たちを楽しませていたらしいが、ピエロの恰好で殺してたわけではない)という存在を知っただけで充分でした。


アメリカンマンハントボストンマラソン爆破事件」
2013年に起きたボストンマラソン爆破事件発生から逮捕に至るまで、関係者インタビューを含めたドキュメンタリー。
ボストンマラソン爆破事件自体は知ってたけど、犯人逮捕のために街を封鎖した(全交通サービスの停止、住民の自宅待機)という事実に驚愕。コロナ以前の完全封鎖ってマーシャル・ロー、戒厳令じゃないか。

それ以外の捜査のやり方とか、当時の警視総監や地方検事の発言を見ていると「これだから差別主義のアメリカはなぁ…」と思ったりするわけですが、加えてボート内に潜伏中の一人の容疑者(銃器非所持)に対して完全包囲した状態で100発以上撃ち込むという、警察の統率力のなさと言ったらない。街中で銃撃ちたいってだけで警官になったんじゃねーのかこいつら。

それでて逮捕されると(よくあれだけ撃ち込まれて生きてたな)国民がやんややんやの大喝采。いやいや、撃たれても武器を向けられてもいないのに必要以上どころか虐殺レベルで乱射した警察への責任追及はよ。…いや、アメリカじゃそういうのでは問題にならないのか?

アメリカはテロの標的になりやすい国だけど、他国も含め社会の在り方ってものを考えさせられるきっかけになりました。


ハヤブサ消防団
中村倫也主演、常廣丈太・山本大輔監督、池井戸潤原作小説の実写ドラマ。
昨年7月にテレビ朝日系列で放送されてたんだけど当然リアルタイムでは追っかけてなく、後から評判を聞いて観てみました。

これが予想外に面白かった。評判が良いつっても、タイトル聞いた時点で「よくある、消防団が奮闘して火事に立ち向かってヒューマンドラマで感動みたいなやつでしょ?」とか思ってたら全く違ってゴリゴリのミステリというかサスペンスだったという。火事がきっかけであり消防団の消火作業は勿論あるんだけど、それはほんのオマケ程度レベルというか。
なるほど池井戸潤作品ならそんな単純ではないわな。

というわけでタイトルに騙されず観た方がいいのは間違いない作品で、個人的に2023年に観たドラマでは一番良かったのでお薦めです。