復権

先日、映画「レオン」完全版のブルーレイがAmazonで安売りしてたもんだから、値段調整で思わず購入してしまった。
吹替で観てみたらジャン・レノが大塚明夫、ゲイリー・オールドマンが山寺宏一なのね。この頃(もう20年以上前!)のゲイリーは若いので山ちゃんでも違和感はないかなという感じなんだけど、ラストの台詞がすげーガッカリでした。いや、演技じゃなく台詞内容がね。
以下ネタバレになりますが…昔のテレ朝放送版だと「クソッ(タレ)」と絶妙な切れ方で原語のイメージを実に上手く表現してたのに、ソフト版は「やられた」って、そんなダサイ台詞を普通に最後まで喋らせるなよと。折角のリュック・ベッソンの最初で最後の名作が台無しじゃないか(←余計な事言うな)。


ちなみに映像特典として劇場予告編が日本版・英語版・フランス版で入ってたんだけど、センスのある(これから観ようという観客を一番大切にしてる)予告編はフランス版だけでした。アメリカも日本も集客のことばかり考えた作りになってるせいで「これ予告で見せちゃ駄目だろ」というシーンの目白押し。20年前からこの程度の宣伝しかできないのかよ…

映画「ギャラクシー街道」鑑賞

香取慎吾主演、三谷幸喜監督のSFコメディ(でいいのかな?)作品。
昨年公開も酷評の嵐で大爆死という話だったのですが、CSで放送されたのでこれは観てみなければ、とw


感想:半分で力尽きた。
今までの三谷作品は楽しんで観てきたつもりだったが、なるほどこれに関しては面白いと思える要素が見当たらない…というか不快要素しか見当たらない。出てくるキャラが気持ち悪いか腹立たしいかどーでもいいかのどれかで、ストーリーも特に興味を引かれる部分がない…となると見続ける気力がなくなるわけですな。
今までの三谷作品にない不条理ドラマを描きたかったのかな…?だとしても何かしら興味を引く部分を一つは入れるだろうよ、舞台を散々やってる人なら。


最後まで観てないので鑑賞と言うのはおこがましいかもしれませんが、残念ながら俺には合いませんでした。

映画「ソロモンの偽証 前篇・事件 後篇・裁判」鑑賞

藤野涼子主演、成島出監督、宮部みゆき原作小説の実写映画版。原作は700ページ超が全三冊という大長編なので、映画も前後篇という二部作(それぞれ121分・146分)になったようです。
勿論原作小説は未読なので映画化によってどういう構成に変わったかは知りませんが、前篇は事件が起きるまで・起きた後・学校裁判に至るまでを描く布石にあたる部分で、真実が明らかになる裁判は後篇で始まるという作りになっています。


感想:クズが結局クズだった。
何故生徒が自殺に追い込まれたのか、それとも他殺だったのか、後者だとしたら容疑者は真犯人なのか、それを警察や学校が明らかにしてくれないから自分たち中学生が学校内裁判で決着を付ける、という流れは(荒唐無稽にしろ)まぁいいんですよ。松重さんがカッコイイ教師で惚れ込めるし。(←そこ?)
ただ、容疑者やその周囲の人間がクズばっかりで辟易するんだよね。いじめのシーンとか(暴力も言葉も)痛々しすぎて本気で引くレベル。前篇がそういう部分を描いていたから、後篇になってそれをカバー(理由付け)する所が出てくるのかなと思ったら、更にそいつらは救いようのないクズでした。最後にちょろっと反省したかも的なシーン見せられても「えええぇ!?」でしょ。お前死ねよ、と思ったのは俺だけではないはず。


そんなレベルのクズ(特に二人)が強烈に描かれているので、その後で「実は私が一番悪いんです」的な人に出てこられても、観てるこっちとしては「いやちょっとは悪いかもしれないけど、コイツらに比べたらアンタすげー善人じゃないか」の一言で済んじゃうんですよ。全然悪くない。
そして、この死が謎に包まれてた生徒がホントどうでもいい人間だったというのが一番アレかな。後篇の詳細が明らかになればなるほど漂う「どーでもいいわ」感。4時間以上かけて観てこんな終わり方か…としょんぼり。主人公だって学校裁判の旗振りをしたってだけで伝説扱いになってるらしいんだが、どうにも肩入れ出来ないなぁ…
あ、あと塚地さんはもっとキレていいと思います。奥さんが本当に心優しいストッパーとして止めてたけど、俺が父親だったらあの二人は殺してるよ間違いなく。


何だろう、後味悪い映画って俺は好きな方なんだけど、同じ後味の悪さでも「うわぁ…」と苦笑いしたくなったり、「これはキツイ…」みたいな泣きそうになる終わり方だから楽しめるのであって、眉間にしわ寄せて「ああン!?」とメンチ切りたくなるような終わり方は本当に苛つくだけだから駄目なんだよ。


予告編とかで結構鳴り物入りみたいな感じで紹介されてたし、邦画史上最大のオーディションを行ったとかいうふれこみで、宮部みゆき原作の長編を前後篇だったからちょっと安心して観てみたらこれだ。
ちょっと前にテレ東で二夜連続放送してたSPドラマ「模倣犯」は実に楽しめたんだが…難しいなぁ、映画って。

映画「君の名は。」鑑賞

神木隆之介上白石萌音主演、新海誠監督、言わずもがな2016年の大ヒットアニメ映画ですな。公開は8月末なので、三ヶ月経ってようやく観てきました。
いやだって俺が観に行かなくてもガンガン席埋まってるし、あれだけ社会的ブームにまでなってると逆に俺みたいなのは行くのが恥ずかしいっつーか(^_^;)
ようやく客席が空いてきたから、そろそろ観時かなと。


感想:日本アニメ映画革新。
凄い凄いと噂は聞いていたが、いや〜ここまで作画に惚れ惚れするとは思わなかった。上映開始から30分位はずっと口を開けて「すげェ…すげェ…」と心中で呟いてました。勿論綺麗なだけじゃなくて、アングルとかカメラワークがまた絶妙なのよね。特に引き戸を開けるシーンのアングルは素晴らしい、アレは実写じゃできない(やろうと思えば専用のセットを作れば可能だが、そもそも思いつかないと思う)。さすが新海誠ファルコム在籍当時「イースIIエターナル」のオープニングムービー制作で同僚の度肝を抜いただけの事はある。


ストーリーとしてはよくある設定を幾つも組み合わせたような話なので目新しさはないかもしれないけど、その組み合わせ方が絶妙な上に展開の盛り上げ方が実に上手いので、観てるこっちは「うおぉどうなるんだー!?」と完全に心を掴まれちまうんだよね。いろんな映画を観てきた人間ですらこうなんだから、おそらくメインターゲットであろう10代20代には本当にドハマリするんじゃないかな?
あと胸は揉むよな、絶対w


観る前に一番危惧していたのは神木隆之介上白石萌音の声の演技だったんだが、これが全く問題ない…というよりこの二人じゃないともう無理ですw 訛りに関しては飛騨地方の正確な訛りを知らないからわからんが、少なくとも演技に関しては素晴らしかった。神木君…アンタまだ23歳でこの実力じゃ将来が本当恐ろしいわ。


観たのは勿論立川シネマシティの極上音響上映。音楽の良さは勿論、繊細な風景の音や効果音もクリアに聞こえるので隅々まで楽しめるし、雷雨のシーンの迫力つったら「あれ、マイティ・ソー出てきた?」と思わず言いたくなるようなw
音を楽しみたいのもあるし、映像美を楽しみたいのもあって、これは確かにリピートしたくなりますわ。


絶賛上映中の「この世界の片隅に」とは全く方向性が違うけど、どちらも引けを取らない名作っぷりで万人に薦められる。
ちなみに「君の名は。」の予算はハリウッドCGアニメの十分の一程度らしい。今年の映画はとんでもなく豊作だな…実に幸せです。